JR東海の一般形電車。
373系をベースとした中距離電車。現在のJR東海を代表する汎用車両である。
311系の投入により名古屋地区の車両のハイクオリティ化が始まったが、本系列の投入前の90年代前半においては、いまだ急行形である165系が残存するなど旧型車が目立っていた状況にあった。そこで、113系や103系までも含めた旧型車両を一掃する目的で製造されたのが本系列である。二度にわたる大量増備により、総数は400両近くなりJR東海で最も多い車両となった。そのため、すべての同社の電化区間でその姿を見ることができる。
また、東海所属車以外にも、愛知環状鉄道2000系やあおなみ線1000形といった派生系列も存在する。
制御機器は、211系をベースとした311系とは異なりVVVFインバータに進化。最高速度は設計限界を130km/hにまで引き上げることによって、車両への負担を軽減している。また、車体限界は東海管内において最小である身延線も走行可能なサイズにすることによって、同社の電化区間はすべて走行可能となっている。
サービス向上を主目的とした311系とは異なり、旧型車淘汰を主眼においていたため、同様の任を受けていたE231系と同様、短期間に大量投入されるというスタイルをとっている。また、大都市圏である名古屋周辺とそれ以外のローカル線区用、さらにライナー専用車など、同一設計の同一形式ではあるものの、用途別に多数のバリエーションを生んでいる。これは、JR以降の一般車としては非常に珍しいことである。
また、淘汰する車両が異なるためか、経営側の意向かは定かではないが、6年ものインターバルをはさんで二次にわたる大量導入が行われている。このために、同一番台ではあっても細かい差異が生じている。
このうち1次車は98年から00年にかけて、名古屋地区の大都市輸送用、及び新設される有料ライナー向け特別編成、さらに末端区向けワンマン向けとして投入された。これにより、残存していた103系と165系が淘汰されている。
大都市輸送用には二種類が存在し、名古屋地区の東海道線快速系統に充当されたのが、0番台に区分される転換クロスシート装備車である。こちらは311系の後継として、東海道線の快速運用に就いており、1次車のみの存在である。もう一つが、中央線系統に配属された1000番台で、こちらは0番台同様転換クロスシートを装備するものの、同線の混雑を考慮して車端部のみロングシートが設置されている。
ライナー用に導入されたものが8000番台に区分され、こちらも2次車には存在しない。このライナーは中央線に導入された座席指定制「セントラルライナー」と呼称され、一部区間を除いて利用には乗車整理券が必要である。そのため、通常の313系とはことなり内装はベースとなった373系に近いものとなり、形態上は3扉ではあるものの真ん中のドアは締め切って運用することができる。外装も一般仕様とは大きく異なり、前面も含めてガンメタリックに塗装され、窓部分にも濃いオレンジの帯が巻かれている。また、セントラルライナー運用においては、本系列中唯一の130km/h走行を行っている。
ワンマン運転用に投入されたものが、2連で組成される3000番台である。車内にはワンマン運転用の電光掲示板が装備され、座席は固定式のセミクロスシートとなった。基本的に路線密度の低い末端区間やローカル線区での運行を主任務とするが、名古屋圏でのラッシュ時増結用としても運用されている。
これらの投入から6年後、06年から07年にかけて東海管内の117系及び119系を除く旧型鋼製車を淘汰するために大量に増備されたのが、2次車に区分される。これらには1次車の増備グループのほか、2次車独自のグループも存在しているが、全車とも各表示器がフルカラーLED化され、燈具類がHID化されるなど随所に改良が施されている。
2次車として増備されたものは、主に静岡地区に残存していた113系、115系、及び身延線用の単行車両である123系の淘汰を主眼に置いた車両と、名古屋地区の旧型車置き換え兼増強用の二種に大別が可能である。
このうち、名古屋圏向けの車両は1000番台の増備グループと新区分の5000番台で構成され、1000番台は1次車と同じく中央線で運用されている。5000番台は東海道線快速向けのバージョンで、本系列では初となる6連固定編成となった。前述のように2次車には0番台は存在しないが、この5000番台を0番台の増備グループとして位置づけることもできよう。
対して、静岡地区に投入された313系は、東海道線以外で主に運用される3000番台増備車と、東海道線向けローカル車、そして飯田線経由長野行きの快速「みすず」用寒冷地仕様車の三種に分類できる。
東海道線向けのローカル車は2000番台と呼称され、本系列初ではとなるオールロングシート編成となった。このグループの導入に当たっては、東海道線静岡地区(熱海〜浜松)を運行する車両は多数がロングシートになることから、一部のファンからは盛大な批判を受けたという逸話がある。
飯田線向けに投入された快速用車両は1700番台に分類される。その数字が示すとおり広義の1000番台に含まれるが、「みすず」として本系列中最北端の長野まで乗り入れるため、スノープラウや霜取パンタといった寒冷地走行用の装備が施されている。
このほか、3000番台増備車は2次車の内最も早く営業運転が行われている。2編成のみの存在であるため、2次車中最も少ない増備となった。
前述のとおり、現状においてJR東海内で最も両数の多い電車となったため、今後何らかの動きが起きる可能性は低いと見られている。よって当分の間、JR東海の主役として広い地域でその姿を見ることができるであろう。 |
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