TOP>>MAIN>>形式集>>鉄道形式集>>415系列

415

所属会社
company
JR東日本/JR西日本/九州
JR/
-EAST/-WEST/KYUSHU
種別
type
一般形電車(近/中距離)
EMU/commuter
使用区域 常磐線/水戸線/七尾線/
鹿児島本線/日豊本線
電源方式 DC1500V
制御方式 抵抗制御
ドア数
在籍総数 289両
最高速度 100km/h

ラストラン415系 07/03/18 松戸にて 現役時代の415系15連 後ろ4連は1500番台 天王台〜取手にて 表情が異なるクハ411形 1500番台 土浦にて 今は亡き二階建て クハIMG_PHOTO/415-1901 勝田にて 

-概要-
 旧国鉄の一般形電車。

 
国鉄の交直流区間を代表する一般型電車。日本の電化方式は山陽本線下関電化を境に交流電化に切り替わったが、この交流区間と直流区間との直通運転を行わんとせんがために開発された。これが東海型3扉車の始祖である401系と421系であり、この統合高出力版に位置づけられているのが本系列である。その生い立ちゆえに、113系115系とは兄弟関係にある。また、後期に増備された1500番台は車体構造を共用したために211系とは親類関係にあたる。

 ただし、これら直流車とは異なり、交直流/交流車では電動機の出力量や対応する周波数などの違いによって細かく形式が分化されている。そのため、基本形は401/421系であるが、最終発展型の415系に至るまでに、50/60Hzそれぞれに低/高出力版が設定された。よって本系列にこれらを含めた5系列は、極論した場合同一形式として扱うことも可能である。

 この系列群の始祖は前述のように401系と421系であるが、これらはその車両形式が異なるように対応する周波数が異なっている。このうち、401系は50Hz対応で、東京近郊でありながら地磁気観測所の影響で電化が遅れた上に交流で電化がなされた常磐線取手以北に投入された。対する421系は60Hz対応となり、関門トンネルをはさんで交直流が分かれた北九州地区に導入されることとなった。

 上記の二形式の最大の特徴は冒頭に述べたとおり、153系から始まった東海型の車体構造を踏襲してはいるものの、通勤区間でも運行されることから片側に両開き扉を三つ設置したことにある。さらに、内装はセミクロスシートとし、この組み合わせが113/115系へと続く国鉄近郊形の基本となるのである。

 また、動力車は当然形式が異なっているものの、先頭車のみではあるが付随車は同一構造の同一形式となった。これは後述の403/423系でも同様である。なお、この後に先頭車の構造は、401/421系の後期より高運転台にシフトしたため、後述の403/423系や415系に低運転台車両は存在していない。

 これら初期形式の登場から4年後、出力向上形として製造が開始されたグループが403系及び423系で、これら系列の後継としてほぼ同じ線区に投入されている。このアプローチは111系に対する113系115系と同様のものではあるが、こちらの製造は3年程度で終了している。

 そして、本系列群の最終進化版としてようやく登場したのが415系である。電動機の出力は403/423系と同様の120kwとし、50Hzと60Hzの双方の周波数に対応。直流区間とあわせて、三つの電源区間を走行することができる。これはつまり、日本の電化区間(但し1067mm区間のみ)なら全て走行可能であると言い換えることもできる。

 こうして生まれた415系であるが、401/403から十以上離れた形式となった点について、これら初期グループを411/413系に再編成し、400代の一桁は交直流の通勤車両に当てる、という目論見があったとされている。しかし、交直流の4扉車の登場はJR化後のE501系まで待たねばならず、また同様の需要が見込まれていた常磐新線も国鉄解体までに完成を見ることができなかったため、結局この計画は失敗に終わっている。

 さて、415系は71年の製造開始以降20年間続くことになるが、これは本系列が交直流区間において113/115系211系の双方の役目を負ったからといえる。当然、この長期間の製造によって多数のバリエーションも発生したのである。

 このうち、従来車と同様に鋼製の車体を持った車両は15年間に渡って製造されており、これらには113/115系と同様に非冷房車(0番台)、冷房新製(0’)、シートピッチ改善(100番台)などのグループが存在している。さらに、交流区間に4扉車両が存在しなかった点から、常磐線向けに製造された(後に九州にも投入)オールロングシートの500番台、この改良型で車端部のみロングシートの700番台といった本系列独自の仕様も登場した。だが、投入線区が限定されているために113系115系と比較すると区分番台やバリエーションは圧倒的に少ない。

 上記の鋼製車とは一線を画した存在が、最後の5年間に新造されたグループである1500番台である。これは同時期に製造が開始された211系ベースにしたもので、裾絞りのステンレス構体を採用し、ボルスタレス式の空気バネ台車を履いている。とはいえ、基幹となったのは内装も含めて700番台であるため、制御方式も抵抗制御となった。このため、既存の鋼製車との連結や混結も可能である。こちらも、従来車と同様、九州地区にも投入されている。

 このグループは動力車ユニットと付随先頭車の4両が基本編成であるが、2両のみ中間付随車が存在していた。このうち、1600番台に区分されるものがオールロングシートで、1700番台車がセミクロスシートである。このほかに、JR東日本初の在来線二階建て車両であるクハ415-1901も91年に登場した。これはラッシュ時の着席定員の増加を目指して製造されたものであったが、構造上2扉であったために増備されることはなかった。よって、常磐線内では一両のみの存在となり、本形式を勝田方に組み込んだ編成ごと限定運用に就いていたが、この形式の成果は後の215系や各線区の二階建てグリーン車の設計につながっている。とはいえ、グリーン車が本系列の後継であるE531系にも組み込まれているのは、なんとも皮肉なものである。

 新製されたのは上記のグループのみであるが、91年には七尾線の直流電化に伴い西日本で初の415系が誕生している。800番台に区分されたこのグループは、丹波方面の特急に使用されていた485系から撤去された交流機器を113系に載せかえて誕生した改造形式である。この改造に伴い、機器を撤去された485系は183系に編入された。

 このようにして、401/421系から数えれば30年近く製造されてきた本系列群ではあるが、交直流という特殊性からかJR化後にもそのままの設計で製造が継続され、かつ15年が経ても後継車両は存在していなかった。

 しかし、JR東日本において強力な対抗馬であるつくばエクスプレスの開業や、H電のE231系や特急車との速度格差の拡大、そして内装の陳腐化などによりついに淘汰が開始された。満を持して投入されたE531系は2年半という短期間で鋼製車だけにとどまらず、1500番台の一部も淘汰している。

 07年3月18日のダイヤ改正以降は、本系列は1500番台を残すのみとなり上野口からは完全に撤退。現在は水戸線と常磐線の友部〜原ノ町間でローカル輸送を行っている。

 JR西日本では、現在も800番台のみが在籍している。こちらは07年8月現在では置き換え計画がないものの、新造車ではないことから老朽化問題は当然存在する。また、北陸地区の車両は大半が深刻な老朽化問題を抱えているため、これら車両とともに同時に置き換えが行われる可能性がある。

 JR九州では813系をはじめ多くの後継車が登場しているが、そのどれもが交流専用車であるため関門トンネルを越える運用に就くことはできない。そのため、現在でも鋼製車両の大半が現役であり延命工事も施されているため、当分は安泰であるようだ。

-大別-
401/421系
 初期に量産されたグループ。全滅。
403/423系
 上記の出力向上形。同じく全滅。
415系
 上記の4車種を統合強化した最終進化版。出力120kw、三電源対応。
鋼製
 上記の設計を引きついだ鋼製東海形車両。
0番台
 初期車
0’番台
 冷房新製車
100番台
 シートピッチ改善形
500番台
 オールロングシート車両
700番台
 車端部のみロングシート
800番台
 JR西日本が七尾線電化の際に投入したグループ。鋼製車。
 485系の直流専用(=183系)化によって発生した交流機器を115系に搭載することで交直流化した改造車。
1500番台
 211系をベースにしたステンレス車体を持つグループ。機器類は700番台準拠。
クハ415-1901
 一般車向け二階建て車両の試作車。一両のみ製造。すでに廃車。

-運用-
 ・常磐線(友部〜原ノ町)
 ・水戸線
 ・七尾線
 ・北陸本線(津幡〜小松)
 ・山陽本線(下関〜門司港)
 ・鹿児島本線
 ・日豊本線(小倉〜佐伯/国分〜鹿児島中央)

-所属-
 ・勝田車両センター(水カツ)
 ・金沢総合車両所(金サワ)
 ・南福岡電車区(北ミフ)
 ・門司港運転区(北モコ)
 ・大分鉄道事業部大分車両センター(分オイ)
 ・鹿児島総合車両所(本カコ)

-外装-
 ・普通鋼/全塗装
 ・ステンレス無塗装(1500番台)

-カラーバリエーション-
常磐線標準色 800番台 九州色
 
1500番台・常磐線色 1500番台・九州色
 

-車体構造-
 ・軽量ステンレス構造【国電】/1500番台のみ
-製造-
 ・川崎重工業  ・東急車輛製造  ・日本車輌製造   

-関連リンク-
形式集
 ・113系  ・115系  ・E501系  ・E531系 
外部
---

-模型(Nゲージ)-
KATO
 ・100番台/常磐新色
TOMIX
 ・混合編成/常磐新色/基本A-基本B-増結  ・旧塗装/基本-増結  ・100番台/九州色/4連
 ・1500番台/常磐線/基本増結  ・1500番台/九州色/4連
MICROACE
 ・401系/旧塗装8連  ・401系/常磐新色4連  ・403系/常磐新色8連
 ・421系/旧塗装8連  ・423系/九州色/冷改車/8連  
 ・415系/旧塗装/冷房車/8連