JR東日本の交直流一般形電車。
満を持して投入された、常磐線中電の後継車両で05年7月9日に運用を開始した。E501系の投入計画が不首尾に終わり、長岐に渡り放置されてきた415系列を淘汰すべく開発された系列である。E231系近郊タイプをベースとし、E993系「ACトレイン」の技術を投入。東日本の普通電車初の130km/hでの走行を可能とした。
130km/h対応となったのは、新規に開業した「つくばエクスプレス」に対抗するためでもあり、また最高速度を引き上げることによって特急列車の待避時間を短縮することができるなど、常磐線特有の条件による。この高速度運行に対応するため、ヨーダンパを装備している。
車体は、前述のようにE231系近郊タイプを基本にしており、幅広ステンレス4扉の車体に、ラインカラーである青帯を巻く。付属編成の勝田側を除く先頭車には車椅子対応の大型のトイレを持っており、そのためにドア配置が左右で異なっている。E231系では車体下部にあった後部標識灯は、本系列では前面LED行先表示器内に収められている。
初期グループ投入から約1年後、第二陣である新津製造分が登場するも、その後長期にわたり追増は行われなかった。そして、突如常磐中電へのグリーン車連結が発表される。これによって、上野口からは415系列だけでなくE501系も駆逐されることが確定した。
この計画転換により、本系列の増備は混乱を極めていく。すなわち、すでに運用に就いていた100両近い車輌にもグリーン車を組み込むことになったからだ。結果、在来編成から2両を抜き取り、そこにグリーン車を差し込むという方法が採られることになる。だが、グリーン車の営業運用を07年3月のダイヤ改正としたことは、それ以前にグリーン車を連結していくことが難しいということである。妥協策として、東北高崎線でも行われたお試し期間を導入したが、それでもグリーン車が勝田へと運ばれたのは06年11月に入ってからであった。
しかし、計画通り415系をすべて置き換えるには、さらに200両近い増備が必須であったことから、11月以前にすべての製造を終わらせねばならず、2両のグリーン車に加え初期車から派生する2連を組み込むために6連として11本の基本編成が製造された。当然、この編成のままでは営業運転に就くことは出来ず、また、10連にしようにもグリーン車を既存編成に組み込むこともままならなかったために、これら車両は勝田のみならず我孫子や尾久などに長期間留置されるという異様な事態となったのである。
このように紆余曲折はあったものの、07年3月改正時には基本22本、付属16本の計300両が出揃い、415系は上野口からその姿を消した。本系列の増備はこれをもって終了となり、交直流車という特性から、今後本系列が増備される可能性はないだろう。 |
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