JR九州の一般形電車。
811系の後継として誕生した系列。実質的な811系のマイナーチェンジバージョンではあるが、内外装を水戸岡鋭次氏率いるドーンデザインが手がけたことによって、その印象は大きく変化した。
車体構造は、811系同様の軽量ステンレス製で側窓のサイズも同等である。前頭部も同じく鋼製ではあるが切妻タイプとなり、前面がブラック化されるなどデザイン上の大きな特徴となっている。また、切妻形となったことにより、前面間通路は非常時のみならず常時使用可能となった。これに加え、初となる全自動幌を採用することで短時間での分割併合を実現した。
制御方式はVVVFインバータ制御に切り替わり、編成長も2両もしくは3両と811系より短い単位での運行が可能となっている。811系よりも短くなってはいるが、811系や本系列同士との併結はもちろん、後に登場した815系や817系との連結も可能であるために、非常に弾力的な運用を可能にしている。
その汎用性からか、別種のコンセプトに基づいた同系統の新系列、つまり817系が登場した後も増備が続けられており、その長い製造期間ゆえに多数のバリエーションが存在する。
これらは、編成中動力車はすべて1両のみではあるものの、片側の先頭車に動力を持つものと中間車に動力を持つものに大別できる。
このうち、最初期のグループが0番台に区分される。全編成が2連で組成されており、このシステムが初期グループの基本となった。そのために、3連が主流となった後もクハに搭載されたパンタグラフからサハを通してクモハへと送電するという特異な形態が採用されることとなる。0番台の次に製造されたグループは100番台と呼称され、従来同様の2連と新形式サハ813を含んだ3連が登場している。
この100番台をベースに、コストダウンを行ったうえで登場したものが200番台に分類される。このグループから、3連のみ製造されるようになった。車体構造の見直しによって側面のビード数が削減されたほか、室内もシートやライト類の変更がなされている。
これ以降の編成単位での増備は、本来後期仕様の登場まで空くことになるはずであった。02年に車両衝突事故が発生し、これによって3編成が失われてしまった。これを補填するために3連3本が製造されることとなり、これが300番台に区分される。5年ぶりの増備ということもあり、特に内装面に大きな変更が加えられている。
初期グループは以上を基本として構成されるが、03年までに初期2連車が3連化されることとなり、サハ813が新たに製造された。これらは、0番台向けが400番台に、100番台向けが500番台にそれぞれ区分されている。
先述のビッグマイナーチェンジを行った後期バージョンは、05年に1000番台として登場した。これは817系をベースとしたグループで、VVVFインバータ装置をIGBT素子を使用したものに変更し、かつ電動車を中間車に設定するなど大幅な改変が行われている。
さらに、07年には1000番台をベースとし大型の汎用LEDを装備したグループが登場した。1100番台に区分されるこれら車両は、前面の基本デザインを変えずに無理やり大型の行き先表示機を搭載したために、運転台部分だけが上部に飛び出すという異様なシルエットを持つ。
外観は811系同様ステンレス無塗装ではあるが、側面腰部の帯は廃され扉と前面運転台部分のみが塗装されている。基本的にJR九州のコーポレートカラーである赤を纏っているが、福北ゆたか線に充当される車両のみ基本色がダークグレーとなっている。
先述の事故によって3編成を喪失するも、811系とは異なり補填が行われたため総数は219両を保持。これは、JR九州の一般車中最大の勢力である。
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