旧国鉄の一般形電車。
札幌圏の電化に伴って投入された系列。酷寒の地である北海道初の電車であり、かつ在来線初の交流電車であったことから、多数の新機軸が投入されている。
新規に投入された技術は様々な箇所に及んでいるが、その際たるものがサイリスタ位相制御を採用した機器類に現れている。さらに、この制御方式の導入によって高効率化を実現。機器をコンパクトにまとめたことで、新性能車としては初の1M方式を採用。これによって低MT比、つまり低コストかつ低加速度ながらある程度の性能を確保することが可能となった。
前述のとおり、初めてづくしの車両となったために量産車の仕様策定のために試作車が製造された。この試作車は量産車と異なり、限りなく少数での比較検討を行うべく2連を組む。二編成が製造され、特に酷寒下での耐寒性能を検討するために異なった窓やドアをそれぞれ採用。ブレーキの試験も行われている。
こうした試験の末に登場した量産車は、今後3次13年に渡って製造されることになる。これらにおいて共通であるのは、中間に電動車を挟んだ3連を組むということ、そしてデッキつきセミクロスシートの非冷房車であることである。次数ごとにそれぞれ機器類が若干の変更がなされており、このうち2次車が旭川電化時に投入され50番台に、3次車は室蘭電化に伴って投入されたもので100番台に区分されている。
60年代から長岐に渡って北海道の電化区間で運行されてきた本系列も、781系の登場によって一般運用のみに就くこととなったために、非冷房デッキ付片側2扉というレイアウトが進展する都市化に対応することが難しくなりつつあった。そのため、冷房化や一部の付随先頭車に3扉化改造が行われた。これら改造は、基本的に最終増備グループである3次車にのみ施工されている。
当然ながら全車がJR北海道に移管されているが、後継である721系および731系の投入によってその数は全盛期の半分以下にまで落ち込んでいる。残存している車両はすべて80年製の3次車となってはいるが、30年近い経年や特有の低加速度のために今後数年で全滅する可能性は高い。 |
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